物語
同じ失敗を何度繰り返せば気が済むのだろうか。日頃から「自分に失敗はあるが間違いはない。」と唱え、失敗を糧とすることを尊重していたはずだった。 しかし、こうも続けば信用は丸つぶれである。 「はぁ。」 思わずため息が漏れる。琥珀色のコーヒーを口に…
細君と子供2人の4人でホームセンターへやってきた。 到着して間もなく、子どもたちは駆け出し店舗の中へと姿を眩ませた。迷子?心配ない。 彼らにはホームセンターでの遊び方の基礎をほとんど教えている。 教科書(注1)を買い与え、実践演習も済ませているし…
今日もまた8時35分に改札口を通過し、会社の出入り口に42分に到着した。いつも通り。 ここは「Interdental Brush Fund Center(歯間ブラシ基金センター)」。傷ついたカリフラワーを保護し、治療を行う非営利組織だ。 チェスターコートを羽織ったカリフラワー…
今朝は父が炊事当番ということはテーブルに並べられたお皿を見ればすぐにわかる。父が当番のときは決まりきった同じものが用意されているからだ。 細かく刻んだ笹の葉とドッグフードを混ぜ、牛乳で仕上げたシンプルな朝ごはん。 犬と牛とパンダ混ぜたらほぼ…
冷えた風がぼくの手をなめらかになぞり、熱を帯びた体をゆるやかに冷ます。 日が暮れるにつれてさらに空気が冷えるだろう。持ってきておいた衣類に視線を落とし安堵した。 店先には“営業中”という影文字を形作る木の枝が無造作に組まれ、立てかけられたブラ…